購買欲喚起トリック? 近年の性能スコア急伸

 上の棒グラフは、ノートパソコン用のCPUについて、現在最もメジャーで価格コムのスペック一覧にも引用されている総合性能スコア(PassMark CPU Mark)とビジネス用途に特化したPCMark 10のEssentialsとProductivityの性能スコアを示しています。ただし、並び順は、ビジネス用途での体感性能に最も効くと考えられるEssentialsのスコア順としています。また、それぞれのスコアは新型CPUの性能の伸びが見やすくなるようにASUS E203MAに搭載されているCeleron N4000との比で示しています。

 この図をざっと眺めて、まず気づくのは、性能スコアがCPUのグレードの高さや型番の大きさに応じて上がるわけではないことです。これは、新たに開発されるCPUの性能が年々向上する結果、発売時期が新しい下位グレードのCPUが、発売時期の古い上位グレードのCPUを追い越すためです。

 続いて気づくのは、総合的な性能スコアPassMark CPU Markの比の方が、新型ハイグレードになるに従い著しく向上し9.4にまで達しているのに、文書作成、表計算、各種アプリ起動、ブラウジング等に関わるビジネス用途の性能スコアであるPCmark 10のEssentialsとProductivityの方は、総合性能スコアの場合の1/4程度の2.1ないし2.7倍に留まっていることです。これは、おかしいですね。総合性能スコアとは何なんでしょうか

 下の図は、上の図に総合性能(逐次的処理)スコアであるPassMark Single Thread Rating、3DMarkの3D表示速度をはかるTime SPY、および写真・動画編集・3D処理関連のPCMark 10 Degital Content Creationの性能スコアを追加したものです。この追加により明らかなのは、PassMark CPU Markのスコアの伸び方が、Time SPYやPCMark 10 Degital Content Creationの方の伸び方にむしろ一致してしまっていることです。これは、PassMark CPU Markが総合スコアとは名ばかりで、ほとんどゲーマやクリエータ向けの性能スコアになってしまっていることを意味します。一方、総合性能(逐次的処理)スコアであるPassMark Single Thread Ratingの方は、PCmark 10のEssentialsとProductivityの中間程度を推移していることがわかります。

 以上より、結局、標準仕様のノートパソコンにまで、ゲーム、デジタルコンテンツ生成等のために高速な3D表示や高並列処理を要求する一部のヘビーユーザを除けば、性能評価用の総合性能スコアとしてはPassMark Single Thread Ratingの方がユーザの利用実態に合う適切な性能スコアであると言えます。

 なお、ここで示した性能スコアは、市販の代表的なノートパソコンの測定結果を拾ってきただけのもので、メモリ容量やストレージのアクセス性能の違いによる影響が除かれていないことに注意ください。とはいえ、ストレージの性能差はそれほど大きくはないので、CPUの性能スコア順が何番も入れ替わるほど影響することはありません。ストレージのアクセス速度は、一般的にCPUの性能の高さに見合うアクセス速度のストレージが選ばれるからです。

 また、PassMark Single Thread Ratingは、キーワードにCPUの型番とPassMarkの2つを入れてググることで出てくるPassMark-CPU型番@XXHz Price …を左クリックして現れるページにおいて、右側にオレンジで表示されるCPU Markの下に位置するSingle Thread Ratingです。逐次的処理の性能スコアとして比較的容易に調べられるものに、Geekbench 5のSingle Coreスコアが有ります。PassMarkよりもスコア値が妥当と思われることも少なくないので、併せて利用されると良いでしょう。

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持ち運び易さで選り抜く軽量ノートパソコンとその整備補強

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